7日目  5月4日
300.35km


「たぶん涙するだろう」

惜しむかのようなルートだ。美しい川の畔のSS。風景林の峠をいくつも超えて、やがて終わる。本当に終わる。この最後の行程をかみしめるように走れるあなたに万雷の拍手だ。
最終日の朝。泣いても笑っても今日が最後。

5月4日、AM3:30アラームの音で目覚める。早速、コマ図の取り替えに掛かろうと起き上がったら、バランスを崩して倒れてしまった。肩と首が痛くて平衡感覚がおかしい。考えたら、既に6日間も12kgのザックを背負っているのだ。平気なはずが無い。体制を整えてコマ図の取替え完了。テントから出て空を見上げると星が出ている。「今日は晴れだな!」勝手に決め込む。周りはまだ寝ているが、さっさとテントを撤収する。カッパもダッフルバッグに入れ込んだ。ザックを少しでも軽くしたかった。昨日までのリザルトを確認するついでにマップホルダーも持って行く。リザルトはまだ張り出されていなかったので、マップホルダーの装着だけして来た。荷物を食事する所まで運ぶ事にする。距離があったので2回に分けて運んだ。一時すると朝食の準備が出来たようだ。これが最後の朝食だ。TBIは今日が最終日なのである。食事後、リザルトを確認したりバッグを預けに運んでブリーフィングの時を待つ。
AM5:30にブリーフィングが始まる。いつものようにPCとSSの地点、開設時間などの説明があり、いよいよ最後のステージの始まりだ。
AM6:00よりスタート開始。私はスプロケを持たせてゴールするのが最優先なので、PC,SSを終えるまで休憩なしで走る事にする。PC1に向かう途中から雨が降って来た。気温も低い。カッパを携帯しておくべきだったと後悔した。しかし、無い物はしょうがないので、そのまま走る。
AM7:00にPC1へ到着。SSまでの距離を考えて少量だがガス給油。給油後またSS−12を目指す。一時降っていた雨が止んでくれた。助かった。途中のダート区間ではスプロケに気を使いながらも程良いペースでこなす。途中で休憩しているエントラントを見かけるが、私はノンストップで走り続ける。
AM10:00過ぎにSS−12到着。1番乗りのようだ。荷物を降ろし、エアの調整をする。ここは川原で、MXコースぽい設定だ。他の人もどんどん到着して来た。オフィシャルからバイクをスタート位置に並べるよう指示があったので、上位の人を前に行かせ5番目に並べた。スタートの番が来た。スタートしてターンから草地へ入る時にエンジンが突然ストールした。これで2回目だ。セルを回すが中々掛かってくれない。どのくらい経過したか解からないが何とか息を吹き返してくれた。ロスした分を巻き返さないといけない。小さなコブやウォッシュボード状のコースをこなして行く。こういうのは苦手ではない。コーステープが袋状に囲んでいる。行き先を見失ってしまった。周りをキョロキョロして探していると右後方の山に上がるルートを発見。急いでターンして進む。山を抜けて下るとゴールが見えた。結果はさておき、これで全部のSSが終了した。後残り100kmのリエゾンを走りきれば完走である。エアを入れ、ザックを担いでPC2に向かう。
PM0:30頃にPC2に到着。PC地点に開設していないと思ったらオフィシャルが1人立っていて先に誘導してくれた。この時点で急ぐ事もなくなったので、長ちゃんを待つ事にする。一時すると長ちゃんが来たので食事をする場所を探しながら進む。中々見つからずコマ図に乗っていた店に入る事にした。注文をして待っている間に1人また1人と次々にエントラントが入ってきた。ここしか店が見当たらないようだ。さほど美味しくもないカレーを食べ(レトルトだね)、長ちゃんが一服するというので外に出てコーヒーを飲む。ここで写真を一枚。そういえばこの7日間、リエゾンに余裕が無くて写真を撮る暇があまり無かった。結構ゆっくりしたのでゴールに向けて走る事にする。
ここからは変なルートも無く、あっさりと到着してしまった。が、ふるさと村に入ろうとしたら3台ほど入り口で止まっている。話を聞くとオフィシャルがまだ帰って来ていないとの事。という事で帰って来るまでここで待機する事になった。その間、戻ってきた人たちと談笑しながら時間を過ごした。2時間以上はここで待機していただろうか。ほとんどのエントラントが到着しているようである。オフィシャルが到着して受け入れ態勢が整いゴールする事が出来た。私的には到着と同時にオフィシャルにゴールを向かい入れられ、7日間の行程を思い出しながら感動でチョット涙する。なんて事を想像していたのだが、現実は問屋が卸さないようである。いずれにしろスプロケが持って完走出来たので良しとするが…。最後のチェックを受け、バイクをパルクフェルメに保管し、荷物を受け取り、車に戻って着替えてから今夜泊まるロッジに向かった。ロッジにはまだ誰も来ていない。浴槽にお湯を溜め、その間に期間中に伸びたヒゲを剃った。お湯が溜まる間に1人ロッジに来たが遠慮なく先に入らせてもらった。久しぶりに湯船に入った。気持ちがいい。この後PM7:00から閉会式が始まるので、次の人と交代する。
PM7:00に長ちゃんが迎えに着たので一緒に会場に向かう。空いたテーブルを見つけると丁度、山田君もやって来て3人でテーブルを一緒にした。閉会式が始まり、あいさつの後に乾杯が行われた。その後は食べ物を取りに行き、腹一杯に食べた(美味しかった)。
表彰式が始まった。初めに各クラス、カテゴリーの表彰が行われ、いよいよ総合の表彰である。優勝が金メダル、2位が銀メダル、3〜30位までが銅メダルを手にする事が出来る。山田君が「写真撮りますよ!」と云っていたら、「30位、ゼッケン16番、山田さん!」何と山田君が呼ばれた。昨日まで31位に付けていたのだが、今日のSSではクラッチが切れないバイクで案の定引っかかったらしくタイムも悪かっただろうという事で本人も順位が上がっているとは思わなかったようだ。慌てて前に出て行く。そのまま舞台に並ぶ。次々に呼ばれて行き「21位、ゼッケン138番、赤木さん!」舞台に駆け寄ると山田さんが「赤木さんは私に怒られました。」初日の事を覚えていたようだ。はずかし〜。「12位、ゼッケン131番、長倉さん!」長ちゃんが呼ばれた。結局追いつけなかった。メダルを掛けて貰う。入賞者全員が呼ばれ上位の人のインタビュー後、写真撮影。表彰式が終わり、今回のブルーアイランドトロフィーの発表である。「今年のブルーアイランドトロフィーは佐藤 薫さんです!」カオルさんが呼ばれた。カオルさんは何故自分なのか山田さんに問う場面も…。山田さんも説明していたが私も同感である。TBIでのカオルさんの人柄と存在感、成績は別にして(最初から成績など考えていない。だが、真面目に走るとやっぱり速い)カオルさんが居ると楽しいのだ。最後のトロフィーにふさわしいと思った。この後、TBIに変わり来年から始まるイベントの発表があった。”ツールドニッポン”北海道からスタートし鹿児島でゴールするという企画。詳細がまだわからないので、今後の発表でエントリーするか考えたい所だ。最後に完走者全員に完走の証明書?とアルバムを貰った。

今回TBIに出場して、内容的には今まで出ているラリーの延長みたいで、特別きつかったとか感動したというのは無かったけど、全国から201名のエントラントが集まり、同じ目的で7日間を共にし過ごした事はとても貴重な体験だった。バイクの楽しみ方を改めて考える事が出来た。TBIは最後になったが、またこのような機会に巡り合えたら最高です。
完走出来たうえに銅メダルも貰えました。記念に残ります。
最終総合リザルト
順位 TOTAL
赤木 21位 1:30:26
長倉 12位 1:25:55

TBI日記